ひとりぼっちのおじいちゃま

後期高齢者で身寄りがなくて一人暮らしをしている、おじいちゃんとの交流を綴ったボランティア日記です。

後期高齢者のおじいちゃまと知り合って、身寄りがない高齢者の生活が、どんなに大変か身近に感じるようになりました。出会った頃、孤独死を覚悟していたおじいちゃま。残り少ない人生なのは分かっているけれど、残り少ない人生だからこそ、少しでも楽に、日々の暮らしに楽しさを見出してもらえるよう、手助けできたらいいなと思い交流を始めました。尚、交流記作成にあたって、おじいちゃまの個人的な情報を記載しておりますが、記載の許可は、おじいちゃまにいただいています。

病院は中止

明日、おじいちゃまと一緒にT病院へいく約束でしたが、おじいちゃまから「下痢が続いていて外出できる状態じゃないから中止にしたい」と電話がありました。体調が良い時にひとりで行くというので、T病院までの行き方などを教えて電話を切りました。

ストーマ

大腸癌の手術から3年。ストーマを装着しているので、肛門からの排出はありません。お腹のところにあるパウチの中に便が溜まります。溜まった便は、パウチの端っこからトイレの中に出して流します。

おじいちゃまの話では、今だに便秘と下痢を繰り返しているとのこと。体調が良い時は、兎の糞みたいな便なので、パウチの処理もし易いそうですが、下痢の時は、あっという間にパウチが一杯になるし、処理する時に手や体に汚れがつきやすく、大変だと言っていました。

普段から断続的に寝ているというおじいちゃまですが、下痢の時は、いつパウチが満杯になるか予測できないので、更に断片的な睡眠になっているようです。普段は2日に1回のお風呂だけど、下痢の時は、パウチの処理の度にシャワーを浴びると言っていました。

一生つけたまま

治療が終わってストーマを外せる人もいますが、おじいちゃまのストーマは一生つけたままです。

病院で知り合った人が「今度ストーマを外す」と話していたのを聞いて、てっきり自分も外せる時が来ると思い込んでいたそうですが、医者に自分はいつ外せるか聞いたところ「一生つけたまま」と言われ、とてもショックを受けたと言っていました。大腸癌になったこと、自分の体を大切にしなかったことを、なんだか悔いているようにも感じました。

腰が重い

ひとりで行けるから大丈夫とは言ってたけれど、最近わかってきたのは、おじいちゃまの腰は、すごく重いということ。最後のお茶をして以来、約束していた散歩と食事は、未だ実行できていません。約束した日が近づいてくると、下痢だの、風邪だのと電話がくるのです。

ストーマであることを告白したので、もう悩む事はなくなったはずと安心していたのですが、どうもそれだけではなく、新しい事や、した事がないことをしようとすると、すごく緊張するのではないかという気がしています。

ストーマの下痢の原因を調べていたら、食べ物以外に「過度の緊張」「ストレス」という項目を目にしました。それが、年を取ったことで感じるようになったものなのか、元からの性格によるものなのかは分かりません。

おじいちゃまには、なるべく優しく、約束の直前に中止しても良いこと、反古にしても全く気にしないこと、おじいちゃまの体調が一番なことなどを電話のたびに話していますが、いつも申し訳なさそうに恐縮しているので、気の置けない仲になるのは、まだまだ先のことのようです。