ひとりぼっちのおじいちゃま

後期高齢者で身寄りがなくて一人暮らしをしている、おじいちゃんとの交流を綴ったボランティア日記です。

後期高齢者のおじいちゃまと知り合って、身寄りがない高齢者の生活が、どんなに大変か身近に感じるようになりました。出会った頃、孤独死を覚悟していたおじいちゃま。残り少ない人生なのは分かっているけれど、残り少ない人生だからこそ、少しでも楽に、日々の暮らしに楽しさを見出してもらえるよう、手助けできたらいいなと思い交流を始めました。尚、交流記作成にあたって、おじいちゃまの個人的な情報を記載しておりますが、記載の許可は、おじいちゃまにいただいています。

絶望感

おじいちゃまに電話を掛けると、いつもの明るいおじいちゃまではありませんでした。

最近の状態

元気がないおじいちゃま、最近どう?といつものように促すと、息ができなくなる時間が多くなったといいます。

これまでは、寝起きの10分間くらい息ができない状態で、ゆっくり起き上がればなんとかなっていたのが、ここ数日は、2・3時間かけないと起き上がれない状態だというのです。加えて痛みも激しいようでした。

死ぬかもしれない

もう死ぬのかもしれないというおじいちゃまに、そんなことないよ、痛みや息ができなくなるのは、この病気の特徴だから、痛くなる前に痛み止めを飲んで、もしそれでも効かなくなったら病院へ行こうと、これから先の対処法を話しました。

夢見が悪い

いつもと違う様子なのは、痛みが原因だけではありませんでした。最近、夢見がとても悪いというのです。

どんな夢をみているのか尋ねてみると、お母さんが手を引きに来るといいます。

おじいちゃまの記憶の中で、一番幸せだった頃の思い出が、お母さんに手を引かれていた時なのかもしれません。

繰り返し見る夢に、お迎えがくると思い込んでいるおじいちゃま。

そうじゃないよ、テレビばっかりみてるでしょ?良いニュースないでしょう?明るい番組や動物の番組とかだけ見るようにしてごらん。寝ている時間は、起きている時間に見たり聞いたりした情報を脳が整理している時間だから、夢はコントロールできるんだよと、少し専門的な話をしました。

電話のむこうで咽び泣く

おじいちゃまと電話する時は、楽しい話や明るい話をするように心がけています。

おじいちゃまの話をきいてあげること。同じ話の繰り返しばかりだけど、ただ「うんうん」と聞いてあげるだけでいいんです。ほとんど家にいる生活だから、新しい話題なんてないんです。暗い話がでても笑いとばして、いっぱい笑い声を聞かせてあげること。おじいちゃまが、私との電話を心待ちにしているのは、そういうことなんだと思います。

後期高齢者のおじいちゃま。あとどんなに頑張っても20年は生きられないと思います。おじいちゃま自身も、あと10年生きられたらいい、でも2年くらいかな・・・と時々いいます。残された時間が限られているのは分かっているけれど、お迎えはまだ今じゃない、私はそう思いたいです。

今日のおじいちゃまは、電話のむこうで声を殺して泣いているようでした。ままならない自分の体、痛み、一人で生きていかなければならない不安。押し潰されそうになっていました。

3時間近く話をして、最後は笑って電話を切ってくれたけれど、一人暮らしの高齢者を支えてあげるにはどうしたら良いのか、また少し課題ができました。