ひとりぼっちのおじいちゃま

後期高齢者で身寄りがなくて一人暮らしをしている、おじいちゃんとの交流を綴ったボランティア日記です。

後期高齢者のおじいちゃまと知り合って、身寄りがない高齢者の生活が、どんなに大変か身近に感じるようになりました。出会った頃、孤独死を覚悟していたおじいちゃま。残り少ない人生なのは分かっているけれど、残り少ない人生だからこそ、少しでも楽に、日々の暮らしに楽しさを見出してもらえるよう、手助けできたらいいなと思い交流を始めました。尚、交流記作成にあたって、おじいちゃまの個人的な情報を記載しておりますが、記載の許可は、おじいちゃまにいただいています。

眠ったまま起きなかったら

今朝は雨が降っていましたが、お昼はポカポカ陽気。おじいちゃまの風邪も治った頃だと思うし、お散歩にでも行っているかなと思い、夕方、電話を掛けました。

風邪が治らない

いつもは5コールくらいで電話に出てくれるのに、10コールしても出ません。まだお出かけ中なのかなと思いながら掛け続けると、20コールくらいして繋がりました。数秒間無言のあと、やっとでた声は弱々しいものでした。

風邪をひいたと聞いてから、かれこれ2週間。熱はないけれど、咳と痰と鼻水が治らないといいます。何か買っていこうか?と尋ねるも、木曜日にヘルパーさんが買ってきたおかずがまだ残っているし、ご飯は炊けているから大丈夫だといいます。ご飯の味はする?と尋ねると、味覚はあるといいます。少しずつ治ってはきているようですが、カーテンを閉じたまま、今日のお昼の陽気も知らず、ただ横になっていたそうです。

背中も痛い

強直性脊椎骨増殖症からくる、寝起きの背中の痛みと息ができなくなる症状は、痛み止めを飲んでいても、ちょうど寝起きの頃に効果が切れてしまうようで、相変わらず朝は死ぬほど苦しいそうです。

今のアパートは、足の踏み場もないというか、こたつの周りをぐるぐる回って歩くことすらできないくらい狭いので、体を動かすこともままなりません。もう少し部屋が広ければ、体を伸ばしたりして、凝りをほぐしたり多少はできるのじゃないかと思うのですが、叶わぬ望みです。

おじいちゃまが「背中が痛いのは、引越せば治るかな・・・」なんていうので、私は「治らないよ😔」と返しました。こんな時、希望を持たせる返事をした方がいいのか悩むところですが、事実の先にある対処方法から目をそらして欲しくないので、ありのまま返事をしています。

ちょっと深刻そうに「朝起きるのが辛いから、このまま寝て、ずーっと起きないままだったらいいのに」と、おじいちゃまがいうので、ん?それは死んだってことではないかい?って、言っちゃいました。おじいちゃまも、そうだなーなんて苦笑いしていました。この病気は、痛みが激しいのが特徴のひとつですが、痛みでは死ぬことはないので、痛み止めを飲むタイミングを探っていこうという話をしました。

都営住宅

3月19日が都営住宅の抽選日です。おじいちゃまは半信半疑だけれど、絶対当たる!と自信があるので、引っ越しの手順などの話で盛り上がりました。抽選日から10日くらい前に、抽選番号のハガキが届きます。もしハガキの番号が「1番」だったら、1番に申し込んだことになるし、他に申し込んだ人が限りなく少なかったともいえます。何番で届くか、おじいちゃまとふたりでドキドキしています。

御近所さん

都営住宅に当選したら、今とは違う地域になるので、知り合った人、仲が良かった人達ともお別れしなければなりません。おじいちゃまにも、お別れになって寂しくなるようだったら、仲の良い人だけには、行き先を教えていったらどうかなという話をしました。

ほとんどの人は、自分が死んでも気にしない人達だといいます。常連になった近所のコーヒーチェーン店でも、しばらく行かないと、すぐに殺されちゃってるからと洒落っ気たっぷりにいいます。高齢者が集うコーヒーショップでは、いつ誰が来なくなってもありえることなので、暫く顔をみせないと、すぐに死んだことにされちゃうんだそうです。

先日亡くなった人は、アパートの下にある掲示板に、1日だけ「家族葬で葬儀は終わらせました」と貼ってあったそうです。いまはお葬式も1日だけで簡単に済ませちゃうんだなと、でも自分は葬式さえもしてもらえないからな・・・というおじいちゃま。お通夜や葬式をしてもらえる人は少ないけれど、そういう人の時は、8日間くらい葬儀の案内が貼ってあるといっていました。

大きなお葬式は必要ないけれど、1日だけでいいので、親しかった人達と集まって、思い出話などをしながら、おじいちゃまのそばで一晩夜を明かして、それからお別れできたらいいのになと思うのですが、身寄りがない人が、亡くなってしまった場合、どのくらい行政の手に任せたらよいのか、分からないことが多いです。