ひとりぼっちのおじいちゃま

後期高齢者で身寄りがなくて一人暮らしをしている、おじいちゃんとの交流を綴ったボランティア日記です。

後期高齢者のおじいちゃまと知り合って、身寄りがない高齢者の生活が、どんなに大変か身近に感じるようになりました。出会った頃、孤独死を覚悟していたおじいちゃま。残り少ない人生なのは分かっているけれど、残り少ない人生だからこそ、少しでも楽に、日々の暮らしに楽しさを見出してもらえるよう、手助けできたらいいなと思い交流を始めました。尚、交流記作成にあたって、おじいちゃまの個人的な情報を記載しておりますが、記載の許可は、おじいちゃまにいただいています。

認知症の疑い

おじいちゃまとの電話で、少し気になる話がありました。

久しぶりに顔をだしたカフェでのこと。カウンターに注文しにいくとカフェのお姉さんが、ニヤッと合図してきたそうです。この合図は、とあるお婆さんがきていることを知らせるための、ふたりだけのいつもの合図。

お節介婆さん

お節介婆さんは、70代くらい。おじいちゃまの事を気に入っていて、灰皿を持ってきたり取り替えに行ったり、喫煙席が空いてない時は、喫煙席が空いた瞬間に席取りをして、禁煙席に座るおじいちゃまのことを呼びにきたり、なにかと話しかけてきては、うんうんと頷くおじいちゃまに、おじいちゃまなら何でもわかってくれると褒めちぎったり、とにかくお気に入りなんだそうです。

そんなお節介婆さんのことが嫌いになったおじいちゃまは、お節介婆さんが来る朝の9時に行くのを止めて、午後の1時頃に行くようにしたんだそうですが、一ヶ月くらい前から、朝の9時から夕方まで、ずーっとカフェに居座るようになったんだとか。

とろい婆さん

おじいちゃまは、とろい婆さんと呼んでいましたが、話を聞いてみると、単にとろいという話ではないようでした。

とろい婆さんも70代くらい。旦那様は亡くなって、今はアパートで一人暮らしをしているそうです。おじいちゃまは、とろい婆さんのことも嫌っているようでした。訳を聞くと、おじいちゃまのことを亡くなった旦那様だと思い込んで「うちのお父さん」といって隣に座ってきたり、帰ろうとすると「お父さん鍵もったー?」なんていいながら、出口までついてくるんだそうです。話も噛み合わなくて、意味不明なことを始終話しかけてくるから苦手なんだそうです。

カフェのトイレに入ると、中から鍵を開けられなくなって、外から店員さんに開けてもらうなんてことも何度もあったそうです。最近は、自分の家までトイレに帰るようになったそうなのですが、途中、間に合わなくて、お漏らししちゃうんだとか。ちょっとトイレに帰るだけが、服を着替えてくるために、戻ってくるまですごく時間がかかるといっていました。そしてまたその事を、お節介婆さんが、本人がいる前で、周囲の人に大きな声でしゃべるんだそうです。

他にも、カフェにいる人みんなに「あなた何がいい?」と聞きながら、お茶をおごってまわるんだとか。おじいちゃまは、断っているそうですが、高齢者の仲間内だけの行為だとしても、そこそこ人数がいるので、かなりの額になると思います。

もう1万円しかお金がないといって泣いていたことがあって、おじいちゃまが、財布の中をみてみると、5千円しか入っていなかったそうです。

おじいちゃまが、とろい婆さんと呼んでいるお婆さんは、認知症を発症しているんじゃないかと感じました。

ふたりの婆さんの関係

おじいちゃまの話では、ある時期から急にとろい婆さんの症状が悪化していったそうですが、それと同時期に、お節介婆さんが、カフェに居座りはじめたそうです。お節介婆さんは、とろい婆さんにべったりくっついて、お昼の時間になると近所にお寿司を二人で食べにいって、またカフェに戻ってくるんだそうです。お節介婆さんは、とろい婆さんの判断能力が低下していることに付け込んで、あれこれ自分の分を払ってもらっているようでした。

とろい婆さんは、家賃が78000円のアパートに暮らしていて、毎月支給される年金が5万円ほど、加えて7万円ほど生活保護が支給されているそうです。家賃を払うと残り4、5万円で遣り繰りしていかなくてはならないのですが、今の状況では、破綻が目に見えています。

とろい婆さんの年金の支給日、銀行にお節介婆さんも一緒にいった時のこと、通帳から下ろしてすぐに年金全額が失くなったと大騒ぎになったことがあったそうです。認知症を発症すると、物を盗られたと騒ぎ出すというのはよくある話なので、とろい婆さんが失くしてしまったのか、お節介婆さんが泥棒しちゃったのかは分かりませんが、とても心配な出来事です。

これからどうなるのかな

おじいちゃま的には、どっちの婆さんのことも好きじゃないので、ふたりの婆さんが、どうなろうとあまり興味はなさそうでした。そんなおじいちゃまに、とろい婆さんは、認知症だと思うよという話をして、これから先、ひとりで生活するのは困難だし、早いうちに成年後見人をつけてもらうとか、施設に入れてもらうことを考えないとねという話をしました。

おじいちゃまは認知症の気配がないのに、以前、認知症の保険について加入したいとかいっていたのは、このお婆さんの存在があったからなのかもしれません。

幸いこの日は、民生委員の方が、カフェでとろい婆さんに話を聞くことになっていたそうです。おじいちゃまは、面倒なことに巻き込まれたくないから、民生委員の人が来る前に帰って来たといっていましたが、今の状態がちゃんと民生委員の人に伝わるといいなと思います。

また少ししたら、経過をおじいちゃまに聞いてみようと思います。